ダッチ・インターナショナル・スクール(以下ダッチ・インター)とは、そのまま日本語にすると「オランダ国際学校」。

政府の補助金が入っている、いわば半官半民のインターナショナルスクールです。

親の転勤や移住によってオランダへ来ることとなった外国籍の子ども達、または他の国からオランダに戻ってくるオランダ人の子ども達が、英語環境での学習を続けるために作られた学校です。

ダッチ・インターは、文部科学省によって承認され、資金提供を受けているので、ダッチ・スクールのように無料ではないものの、プライベートのインターナショナルスクールと比べると格安の学費で通わせることができます。

 

 

ただし、国内の規制に基づいて、入学できる生徒の条件が設けられています。

・オランダ国籍ではない国籍を有し、限られた期間、オランダ(またはオランダ国境地域)で働いている親を持っている。

・オランダの国籍を持ち、親が海外に駐留していたため、少なくとも2年間は海外に住んでいた。

・オランダの国籍を持ち、2年以内に少なくとも2年間留学する親を持つ。親の雇用主による書面での証明が必要。

次の3つの条件のうち、少なくとも1つを満たしている場合のみ入学が許可されます。

親子留学で日本から来られるケースでは、1番目の条件を満たすことができます。

(お父様かお母様が起業ビザを取得。これは3ヶ月以上の滞在のためにも必要となります。)

 

気になる学費は、年間€4000〜7000(日本円で約50〜85万円)くらい。

これは、プライベート・インターの€15000〜20000(日本円約180〜250万円)と比べるとかなりの割安感があります。

学費が安いからカリキュラムが良くないのかというと、決してそういう訳ではありません。

 

ダッチー・インターでは、プライベート・インターと同様に、国際的に広く採用されている以下のカリキュラムを採用しています。

IPC(国際初等カリキュラム)

IB−PYP(国際バカロレア初等プログラム)

British Curriculum(ブリティッシュ・カリキュラム)

IB−MPY(国際バカロレア中等プログラム)

IGCSE(ケンブリッジOレベル、Aレベル)

IB−DP(国際バカロレアディプロマプログラム)

 

では、プライベート・インターとの違いは何でしょう。

まず第一に、プライベート・インターの方が学校の規模が大きく、施設やアクティビティが充実しているということ。

最も人気のある、International School of AmsterdamやAmerican School of the Hagueなどでは全校合わせると千人以上の生徒が通っています。

イベントやクラス替えなどを通して、よりたくさんのお友達を作ることが可能かもしれません。

スポーツや芸術のイベントはとても盛り上がりますし、課外活動は内申書(スクール・レポート)にも有利になります。

 

また生徒の数が多いということは、授業においてより多くの選択肢があります。

例えば、国際バカロレアでは、中学年から第二外国語を学習するのですが、

規模の大きな学校では、フランス語・ドイツ語・スペイン語などの中から自分で選択することができます。

でも、小さな学校では「当校ではスペイン語」などと決まっていて、選ぶことができません。

 

また、施設面でも、プライベート・インターは大きな敷地の中にサッカーや野球などもできる大きなグラウンド、体育館、劇場などを持っています。

ダッチ・インターの校舎は、元ダッチ・スクールだった校舎を利用しているケースが多く、そういった施設は持っていません。

休み時間に遊べるような小さなプレイグラウンドはありますが、スポーツやスイミングの授業は、近くの公共の施設にて行なわれます。

ただし、ダッチ・インターでも、幼稚園から高校までが同じ校舎で学ぶ学校は比較的大きな施設を持つ学校もあります。

 

また、親の職業にも少し違いがあるようです。

プライベート・インターでは、親の多くが大手企業の駐在員や大使館職員、国際機関職員などで、会社が学費を負担して通っている生徒がほとんどです。

また、ビジネス・オーナーや有名スポーツ選手、芸能人の子ども達も通っていると聞きます。

ダッチ・インターにも、やはり駐在家庭や国際期間職員家庭や親の留学で来る生徒が集まりますが、インド人の割合が増える傾向にあるようです。

子ども同士は親の仕事などは気にせず(よく知らないでしょうし)、仲良く遊んで勉強しているのであまり気にすることはないと思います。

 

最後に、ダッチ・インターはあくまで一時的な通学を想定しているということ。

通常2年程度、最長でも5年くらいまでしか在籍できませんし、永住権を持つ外国籍の生徒は入学できません。

高校卒業まで学校を移りたくない、永住組で英語教育を受けさせたいケースでは、プライベート・インターを選ぶ家庭もあります。

また、ダッチ・インターでは、アメリカのカリキュラムを採用している学校はありませんので、アメリカのカリキュラムで学習したい家庭(アメリカの大学進学を目指すのに有利)はプライベート・インターで、アメリカのカリキュラムを採用している学校を選ぶことになります。

親子留学や家族留学で数年滞在される場合は、あまり気にしなくてもよいでしょう。

 

以上、一般的にいわれている、ダッチ・インターとプライベート・インターの違いを挙げてみました。

学校の規模や施設、カリキュラムの選択肢、世帯層などに違いはあるものの、大切なのは国際的な環境の中で、国際的に通用するカリキュラムで学ぶことだと思います。

そういう意味では、ダッチ・インターでも十分に通用しますし、むしろ、よりオランダ社会に近い位置づけのインターナショナル・スクールとして、とても良い選択だと思います。